切迫早産の入院費用と生命保険や高額療養費など大事なポイント

切迫早産の費用と生命保険、高額療養費について解説

妊娠から出産までなにごともなく無事出産できればいいのですが、妊娠すると結構いろいろなことがおこるもんです。中でも気をつけなくちゃいけないのが切迫早産。
このページでは切迫早産の原因、入院費用、生命保険の給付金、高額療養費、出産育児一時金や出産手当金などについて解説します。

 

早産とはどういうもの

早産とは、妊娠22週0日から妊娠36週6日までの出産をいいます。
妊娠22週未満の出産は流産といいます。
早産でうまれてくる低体重の赤ちゃんほど重い障害が出る確率が高くなるため、早産には注意する必要があります。

 

切迫早産とは

切迫早産とは、子宮収縮があり子宮口がひらいたり、あるいは破水をしたりして早産になりかけてしまったような状態をいいます
子宮口があまり開いていない状態ならば外来通院による治療も可能ですが、子宮口の開きが進んでいる場合は入院しての治療が必要になります。そこで、切迫早産で入院した場合の費用についての話を次の項目で解説していきます。

 

切迫早産の原因は何?

切迫早産の原因としては、子宮自体の異状である子宮筋腫や頸管無力症があります。

 

頸管無力症とは、子宮頸管が開きやすい体質のため、子宮口がどんどん開いて流産や早産になってしまうリスクの高い病気です。そのために子宮口をしばって防ぎます。この手術を「子宮頸管縫宿術」といいます。

 

ただし上記以外の原因で早産になる場合があります。その場合の原因はハッキリとわかっていないようです。

 

ただ、もっとも疑われているのが「前期破水」です。前期破水とは、陣痛が始まる前に羊水が子宮外に流れ出る破水をいいます。

 

前期破水の原因として、細菌による感染「絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)」が注目されています。

 

したがって、細菌感染による炎症が切迫早産を引き起こす原因として考えられています。

 

絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)についてはこちらのページ(PDF)をご覧ください。

 

ただし、細菌感染といっても、その細菌が外部から侵入したというより常在菌であるようです。常在菌は皮膚表面にも体のどこにでもいる菌で、善良な菌と悪い菌が混在しています。

 

これが、なんらかしらの原因で善良な菌が弱ることで、悪い細菌が増えることから感染が始まります。それが膣の内部で起こります。悪い菌が増えることで膣自体の酸性が弱まり自浄作用をなくすことから、細菌性膣症になります。さらに菌が繁殖して膣炎となり、その後に子宮頸管炎、そして絨毛膜羊膜炎となっていきます。

 

細菌性膣症➜膣炎➜子宮頸管炎➜絨毛膜羊膜炎➜前期破水➜切迫早産という流れになります。

切迫早産の入院費用

入院費用は一律いくらということで残念ながら算出はできません。以下の理由によります。

 

妊娠何週目で切迫早産になりかけたかによって入院日数が違ってきます。妊娠28週で入院となると2ヶ月ということもありますし、もっと早くから切迫早産になり4ヶ月入院という方もいます。逆に遅い方は短くなります。入退院を繰り返す方もいてそれぞれの方が違っています。

 

  • 看護体制がしっかりした病院と個人の産婦人科でも入院費は違う。また1~3人の看護体制の産婦人科と7人以上では1日あたりの入院料金が違う。
  • 入院期間の違いにより点滴で使う薬(ウテメリン等)の量なども違う。
  • 入院費だけでなく差額ベッド代の有無によっても違う。

 

このような理由により納得できる回答を出すのが難しいのです。
そこで、実際はこんな感じの費用になりますよという参考サイトがありますのでご覧ください。

 

切迫早産でかかった入院費用について
切迫早産の入院費用

 

費用の概算としては、差額ベッド代を除いて1日あたり1万円と考えておけば大きな誤差はありません。差額ベッド代については、個室しかない個人病院もありますので1日あたり5,000円から15,000円を想定しておく必要があります。

 

そこで、主に入院すると支払う費用(治療費、薬代、入院費、差額ベッド代、食事費など)の合計を1日あたり15,000円(差額ベッドは1日5,000円)として計算してみます。

 

出産まで1ヶ月入院した場合は、15,000円×30日=45万円になります。これは計算すれば簡単に出てきますが、この費用を窓口でとりあえず支払ったとしても、いろいろと後から受取れる手当等がありますのでそちらを中心にご紹介いたします。
まずは、高額療養費制度についてです。

切迫早産と高額療養費について

高額療養費とは、医療保険制度の中にある制度です。簡単にいってしまえば、1ヶ月あたりの自己負担限度を超えた医療費については後から還付しますよ的なものになります。ただしここには全額自己負担となる差額ベッドや食事療養費等は含めることができません。

 

高額療養費は下記のように所得によって自己負担限度額が違っています。

 

高額療養費の区分は5つに分けられています

69歳未満の方の場合

 

区分

標準報酬月額

計算式

多数回数

83万円以上 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% 140,100円

53万~79万円 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 93,000円

28万~50万円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 44,400円

26万円以下 57,600円 44,400円

市区町村民税の非課税者等 35,400円 24,600円

 

上記例で45万円の費用がかかったとしてもこの高額療養費の限度額がありますから、申請すればそれ以上の分は還付されてきます。ただし、45万円から差額ベッド代や食療養費を差引いた金額が計算の基礎になります。また計算はひと月単位になります。

高額療養費の計算例

高額療養費区分ウに該当する方が、3月20日に入院して4月19日に退院。3月分の医療費は18万円、4月分を12万円とした場合。

 

3月分:80,100円が限度になりますから99,900万円は還付されます。
4月分:3月分同様に80,100円が限度になりますから39,900円が還付されます。

 

合計で99,900円+39,900円=139,800円が還付されます。
つまりは、30万円の医療費も139,800円が還付されますから自己負担は160,200円ということになります。

 

そして、この金額に自己負担している差額ベッド代や入院食事費、諸費用を加算したものが費用の合計ということになります。

 

限度額適用認定という制度もあります

上記の高額療養費は窓口で医療費について後から還付されてくるものですが、限度額適用認定を受ければ、窓口で支払う時点で自己負担限度額までとすることができる制度です。

 

この制度を利用すれば多額の現金を用意して支払う必要がなくなります。ただし、クレジットカードが使える産科医院ならば、クレジットカードを使うことによりポイントをためることができます。ですからポイント狙いなら限度額適用認定を受けないでクレジットカードで支払ったほうがその分得します。

 

これ以降は、出産に関連する手当金のご紹介です。

出産育児一時金が受け取れます

切迫早産の方だけではありませんが、妊娠85日以上で出産された方が対象となり、出生児1人に対し42万円が支給されます。

 

働いている方は出産手当金もあります

出産手当金とは、健康保険に加入されている方が、出産の日以前42日(双児以上の場合は98日)間、出産の日後56日間のうちで仕事を休んだ日数分が支給される手当になります。出産日が出産予定日より遅れた場合は、その遅れた期間も支給されます。

 

支給額は、休業1日につき標準報酬日額の3分の2相当額が支給されます。

 

生命保険からは入院給付金

正常分娩では、生命保険から給付金を受取ることはできませんが、切迫早産の場合は、異常分娩になりますので該当してきます。加入している入院給付金が1日あたり5,000円であれば、5,000円×入院日数分となります。

 

ただし、5日以上の入院が条件となっている保険では4日分を差引いての計算となります。30日入院した場合は、5,000円×26日(30日-4日)=130,000円という計算をします。

 

生命保険から受け取った入院・手術給付金は税金はかかりませんので確定申告をする必要もありません。
医療費控除の申告をする場合には、受け取った給付金は差し引きます。

切迫早産と帝王切開の場合

切迫早産だけでもたいへんなことですが、帝王切開となった場合には、手術もあるので費用もさらにかかります。
しかしながら、今までご紹介した高額療養費は使えますし、出産育児一時金も受取ることができます。また生命保険に加入している方であれば、入院給付金に加えて「帝王切開娩出術」という手術給付金も受け取れます。

 

手術給付金は、「1日あたりの給付金の倍率支払い」に加入している場合は、10倍が該当するはずですから、1日あたり5,000円の給付金ならば、5万円、1日あたり1万円なら10万円の手術給付金を受取ることができます。

 

自分の契約が該当するのか、あるいは受取れる金額については、各自ご加入の保険会社にお問合せください。

 

切迫早産で使った医療費を確定申告で取り戻す

年間10万円以上の医療費を使った場合には、確定申告で医療費控除が使えます。
計算式は、〈実際に支払った医療費の合計額ー生命保険からの給付金・出産育児一時金・高額療養費などの金額〉ー10万円です。

 

なお収入が3,115,000円以下(所得が200万円)以下の方は10万円を超えなくても5%を超えた分を申告できます。所得が150万円ならば75,000円を超えた分を申告できます。

 

また、医療費控除の申告には、差額ベッドや入院食事費、電車やバスの交通費、薬代、生計を一にしている家族の医療費も含めることができます。

 

医療費控除の例

切迫早産で入院して医療費を80万円支払ったとします。
ですが、高額療養費として20万円が還付され、生命保険から30万円受け取った場合には、80万円ー50万円ー10万円=20万円を医療費控除として申告ができます。
この金額が還付されるわけではありませんが、所得税や住民税を支払っている方は確定申告をすることにより還付があります。

収入500万円の方の医療費控除による税金還付金目安

収入が500万円、保険から補てんされた金額や10万円を差引いた医療費控除が20万円とします。

 

給与所得控除を差引いた金額は346万円になるので、税率は20%です。
所得税は、20万円✕20%=4万円、住民税は10%なので、2万円、あわせて6万円還付されることになります。

 

医療費控除の簡易計算はこちらからできます。

 

 

なお、医療費控除は最高200万円までになります。

 

切迫早産に関してのニュース

熊本大医学部付属病院(熊本市中央区)は、切迫早産で入院中の女性患者(20歳代)に点滴をするため、昨年4月に静脈内に細い管(カテーテル)を挿入。その際に管内の金属製ワイヤ(長さ約40センチ)を抜き忘れ、そのまま留置。

 

患者が翌日、肩や左上半身の痛みを訴えたためエコー検査などを行い、抜き忘れが発覚。上半身を3か所切開してワイヤを摘出した。というニュースがありました。

 

医師は、ワイヤは挿入後は抜き取る必要があるが、知らなかったということです。チョットびっくりです。

まとめ

切迫早産で入院するとやはり費用がかかります。入院費、処置費用、薬剤代、差額ベッド、入院食事費などです。当然入院期間が長くなればなるほど支出は多くなります。

 

ですが、高額療養費制度や1児に対して42万円の出産育児一時金がありますので全額自己負担というわけではありません。また、生命保険に加入している場合には入院給付金も支払われます。

 

また、1年間で支払った医療費が10万を越える場合には医療費控除を使った確定申告ができ、税金の還付が受けられます。
なお、収入が3,115,000円未満(総所得が200万円未満)の方は5%を超えた分が医療費控除として申告できます。

 

以上、「切迫早産の入院費用と生命保険や高額療養費など知っておくべきポイント」についての解説でした。

 

前のページは、70歳以上の医療費はどうなっているの?

次のページ→ 差額ベッド代や初診時の紹介状など「選定療養費10種類」を徹底解説!

 

該当カテゴリー:医療費
関連カテゴリー:医療費控除

 

 

医療関連記事カテゴリー 医療費控除で税金を取り戻そう

関連ページ

生活保護の医療費はどうなっているの?
生活保護の医療費の仕組みについて解説
医療費の基本:診療報酬とは?どのような内容になっているの
医療費の基本、診療報酬とは?
人工透析の医療費と身体障害者手帳について
人工透析の医療費と身体障害手帳についてのまとめ
難病(特定疾患)の医療費助成のポイント
難病(特定疾患)の医療費と助成について解説
子どもの医療費助成とはどういうものですか?
子どもの医療費とは?
70歳以上の医療費はどうなっているの?
70歳以上の医療費の仕組みについて解説
差額ベッド代と選定療養費について徹底解説!
差額ベッド代や初診時の紹介状など選定療養費と保険外併用療養費などついて解説
ジェネリック(後発)医薬品とはどういうお薬なの?
ジェネリック(後発)医薬品について
医学管理料とはどういうもの?概要や診療点数について
医学管理料の概要や診療点数について解説
下肢静脈瘤の手術費用はどのくらいなの?高額療養費と生命保険からの給付について
下肢静脈瘤の手術費用は生命保険から支払われるのか
初診料と再診料の計算や点数と同日2科目受診について解説
初診料、再診料、同日2科目受診、診療時間外の加算について
歯医者の初診料はいくら?2016年の料金。再診料計算はこうする
歯医者の初診料と再診料計算、歯科診療報酬について解説しています。
一般病棟の入院基本料や加算点数はどうなっている?
一般病棟の入院基本料や加算点数について解説
白内障の手術費用は生命保険から受取れるの?高額療養費はどうなっているの?
白内障の手術費用は生命保険から給付されるのか、高額療養費はどうなっているのかについて解説
白内障の眼内レンズは多焦点レンズがいい!?
白内障で用いる多焦点レンズについて
集中治療室(ICU)の費用(料金)はやはり高かった!
集中治療室(ICU)の費用(料金)について解説
必ず知っておきたい診療報酬請求の流れ。図解しています
診療報酬請求の流れを図解
初診時に歯石取りで支払った料金はこんな感じだった
歯医者に行って支払った初診料とその他の料金についての体験談です。
抜歯のため支払った再診料はこんな感じだった
今回は親知らずの抜歯です。その処置と支払った再診料についての記事
投薬報酬と調剤報酬は違いますよ。概要と点数について解説
投薬報酬と調剤報酬は別のもので違います。ここでは、調剤報酬についての概要と主な投薬点数を掲載しています。
患者申出療養制度とは?
未承認薬等を迅速に保険外併用療養として使用したいという困難な病気と闘う患者の思いに応えるため2016年4月から始まった患者申出療養制度について解説しています
脳ドックの費用はいくらかかるの?どんな検査か知りたい方のページ
脳ドックについての概要と費用はどのくらいかかるのかについて調べてみました。
東京で受けられる低価格な脳ドックランキング
東京で受けられる低価格な脳ドックを掲載しています
ひとり親家庭の医療費助成
ひとり親医療費助成について
医療費の自己負担はどうなっている
医療費の自己負担
高額療養費の申請
高額療養費の申請について