ここでは、医学管理料といわれる診療報酬の概要と小児科外来診療料、生活習慣病管理料、薬剤情報提供料等の点数について解説します。
医学管理料とはどういうもの?
医学管理とは、手術や薬を処方するものではなく、治療計画に基づく病気の経過管理や病気について理解してもらうよう指導するものです。
患者側からすると、何を管理・指導されているのか不明な点が多いと言われているものですが、医療機関側からすれば、材料費の仕入れや固定費がかかるものではなく、コンサルタント料的なものですので採算のいい加算項目になっています。
医学管理等は、「特掲診療料」になりますので、初診・再診料や入院料等の基本診療料に加えて算定される診療報酬になります。
平成28年の診療報酬によりますと、医学管理料は以下のような種類に分類されています。
医学管理料の種類について
医学管理料には以下の種類があります。
- B000 特定疾患療養管理料
- B001 特定疾患治療管理料
- B001-2 小児科外来診療料
- B001-2-2 地域連携小児夜間・休日診療料
- B001-2-3 乳幼児育児栄養指導料
- B001-2-4 地域連携夜間・休日診療料
- B001-2-5 院内トリアージ実施料
- B001-2-6 夜間休日救急搬送医学管理料
- B001-2-7 外来リハビリテーション診療料
- B001-2-8 外来放射線照射診療料
- B001-2-9 地域包括診療料
- B001-2-10 認知症地域包括診療料
- B001-2-11 小児かかりつけ診療料
- B001-3 生活習慣病管理料
- B001-3-2 ニコチン依存症管理料
- B001-4 手術前医学管理料
- B001-5 手術後医学管理料
- B001-6 肺血栓塞栓症予防管理料
- B001-7 リンパ浮腫指導管理料
- B001-8 臍ヘルニア圧迫指導管理料
- B002 開放型病院共同指導料(Ⅰ)
- B003 開放型病院共同指導料(Ⅱ)
- B004 退院時共同指導料1
- B005 退院時共同指導料2
- B005-1-2 介護支援連携指導料
- B005-1-3 介護保険リハビリテーション移行支援料
- B005-2からB005-3-2まで削除
- B005-4 ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)
- B005-5 ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅱ)
- B005-6 がん治療連携計画策定料
- B005-6-2 がん治療連携指導料
- B005-6-3 がん治療連携管理料
- B005-6-4 外来がん患者在宅連携指導料
- B005-7 認知症専門診断管理料
- B005-7-2 認知症療養指導料
- B005-8 肝炎インターフェロン治療計画料
- B005-9 排尿自立指導料
- B006 救急救命管理料
- B006-2 削除
- B006-3 退院時リハビリテーション指導料
- B007 退院前訪問指導料
- B007-2 退院後訪問指導料
- B008 薬剤管理指導料
- B008-2 薬剤総合評価調整管理料
- B009 診療情報提供料(Ⅰ)
- B009-2 電子的診療情報評価料
- B010 診療情報提供料(Ⅱ)
- B011及びB011-2 削除
- B011-3 薬剤情報提供料
- B011-4 医療機器安全管理料
- B012 傷病手当金意見書交付料
- B013 療養費同意書交付料
- B014 退院時薬剤情報管理指導料
- B015からB018まで削除
以下は、上記の医学管理料のいくつか選んで報酬点数を掲載しています。
特定疾患療養管理料の点数
平成28年の診療報酬点数。
1 診療所の場合 225点
2 許可病床数が100床未満の病院の場合 147点
3 許可病床数が100床以上200床未満の病院の場合 87点
特定疾患の患者に対して、治療計画に基づき療養上必要な管理を行った場合に、月2回に限り算定できるものです。ただし、初診に行った管理や初診から1ヶ月以内に行った管理の費用は初診料に含まれます。また、入院中の患者や退院した患者において、退院の日から起算して1月以内に行った管理の費用についても入院基本料に含まれます。
特定疾患とは?
以下のものが該当します。
- 結核
- 悪性新生物
- 甲状腺障害
- 処置後甲状腺機能低下症
- 糖尿病
- スフィンゴリピド代謝障害及びその他の脂質蓄積障害
- ムコ脂質症
- リポ蛋白代謝障害及びその他の脂(質)血症
- リポジストロフィー
- ローノア・ベンソード腺脂肪腫症
- 高血圧性疾患
- 虚血性心疾患
- 不整脈
- 心不全
- 脳血管疾患
- 一過性脳虚血発作及び関連症候群
- 単純性慢性気管支炎及び粘液膿性慢性気管支炎
- 詳細不明の慢性気管支炎
- その他の慢性閉塞性肺疾患
- 肺気腫
- 喘息
- 喘息発作重積状態
- 気管支拡張症
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃炎及び十二指腸炎
- 肝疾患(経過が慢性なものに限る。)
- 慢性ウイルス肝炎
- アルコール性慢性膵炎
- その他の慢性膵炎
- 思春期早発症
- 性染色体異常
特定疾患治療管理料の種類
- ウイルス疾患指導料
- 特定薬剤治療管理料
- 悪性腫瘍特異物質治療管理料
- 小児特定疾患カウンセリング料
- 小児科療養指導料
- てんかん指導料
- 難病外来指導管理料
- 皮膚科特定疾患指導管理料
- 外来栄養食事指導料
- 入院栄養食事指導料
- 集団栄養食事指導料
- 心臓ペースメーカー指導管理料
- 在宅療養指導料
- 高度難聴指導管理料
- 慢性維持透析患者外来医学管理料
- 喘息治療管理料
- 慢性疼痛疾患管理料
- 小児悪性腫瘍患者指導管理料
- 糖尿病合併症管理料
- 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料
- がん性疼痛緩和指導管理料
- がん患者指導管理料
- 外来緩和ケア管理料
- 移植後患者指導管理料
- 植込型輸液ポンプ持続注入療法指導管理料
- 糖尿病透析予防指導管理料
小児科外来診療料(1日につき)の点数
小児科を標榜する保険医療機関において、入院中の患者以外の患者(3歳未満の乳幼児に限る。)に対して診療を行った場合に、保険医療機関単位で算定するものです。
1 保険薬局において調剤を受けるために処方せんを交付する場合
イ 初診時 572点
ロ 再診時 383点
2 1以外の場合
イ 初診時 682点
ロ 再診時 493点
生活習慣病管理料について
保険医療機関(許可病床数が200床未満の病院又は診療所に限る。)において、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者(入院中の患者を除く。)に対して、患者の同意を得て治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定するものです。
1 保険薬局において調剤を受けるために処方せんを交付する場合
イ 脂質異常症を主病とする場合 650点
ロ 高血圧症を主病とする場合 700点
ハ 糖尿病を主病とする場合 800点
2 1以外の場合
イ 脂質異常症を主病とする場合 1,175点
ロ 高血圧症を主病とする場合 1,035点
ハ 糖尿病を主病とする場合 1,280点
手術前医学管理料の点数
1,192点。
手術前に行われる検査の結果に基づき計画的な医学管理を行う保険医療機関において、手術の実施に際して区分番号L002に掲げる硬膜外麻酔、区分番号L004に掲げる脊椎麻酔又は区分番号L008に掲げるマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合に、当該手術に係る手術料を算定した日に算定するものです。
薬剤情報提供料の点数
10点です。
入院中の患者以外の患者に対して、処方した薬剤の名称、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書により提供した場合に、月1回に限り(処方の内容に変更があった場合は、その都度)算定するものです。
※ 処方した薬剤の名称を当該患者の求めに応じて手帳に記載した場合には、手帳記載加算として、所定点数に3点を加算する。
※ 保険薬局において調剤を受けるために処方せんを交付した患者については、算定しない。
がん治療連携管理料の点数
1 がん診療連携拠点病院の場合 500点
2 地域がん診療病院の場合 300点
3 小児がん拠点病院の場合 750点
注 別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関が、他の保険医療機関等から紹介された患者であってがんと診断された入院中の患者以外の患者に対して、化学療法又は放射線治療を行った場合に、当該基準に係る区分に従い、1人につき1回に限り所定点数を算定する。
まとめ
医学管理とは、手術や薬を処方するものではなく、治療計画に基づく病気の経過管理や病気について理解してもらうよう指導するものです。
コンサルティング料というように解釈できます。
医学管理等は、「特掲診療料」になりますので、初診・再診料や入院料等の基本診療料に加えて算定される診療報酬になります。
医学管理料は、項目数で分けると、46種類(平成26年度報酬点数表)あります。
以上、「医学管理料とはどういうもの?概要や診療点数について掲載」でした。
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