ここのところやけに目がかすむな~。ちょと眼科で診てもらおうかな。ということで、眼科で診てもらったところ、白内障が進行しています。まだ大丈夫ですが、いずれは手術をするようですよ。
なんて、診断を受けがっかりやらびっくりした。という経験が多いのが白内障です。眼科医のいうところよると、長生きすれば白内障になる確率は100%らしいですから。
でも、こんなときに、やはりどういう手術をするのか、費用はどのくらいかかるのか、高額療養費は使えるのか、生命保険から手術給付金は受取れるのかなど調べておきたいものです。そこで、今回、そのような疑問について解説します。最後までご覧ください。
白内障の手術費用を診療報酬点数から検証
白内障の手術費用はいくらかかるのか。というのは、入院して手術をするのか、あるいは日帰り手術で終わるのかによりますが、診療報酬点数が計算の基になります。
診療報酬は2年に一度改定され、最新版は平成30年度(2018年)版です。
白内障の診療報酬は何点?
ここでは、白内障の手術費用のみに焦点をあてて見てみますと水晶体再建術が該当します。
1 眼内レンズを挿入する場合
イ 縫着レンズを挿入するもの 17,840点
ロ その他のもの 12,100点
2 眼内レンズを挿入しない場合 7,430点
3 計画的後嚢(こうのう)切開を伴う場合 21,780点
上記の「眼内レンズを挿入する場合の縫着レンズを挿入する場合」が該当しますので、17,440点になります。
点数を料金に換算すると・・・
料金に換算する場合、1点あたり10円になりますので、17,840点×10円=178,400円(片眼)になります。といっても健康保険が使えますので最高でも3割の自己負担です。
結局のところ白内障の費用はいくら?
もちろんこの費用だけでなく、術前検査や麻酔、薬剤費等もありますので、それらも含めますと自己負担が1割の人は、おおよそ片眼で約2万円になります。3割負担の人は、約6万円。
しかしながら、高額療養費制度がありますので、支払った治療費が所得税を収めている人は一部還付される人もいます。高額療養費については下記項目に掲載していますので順にご覧ください。
次は「白内障の統計」と「症状について」を解説していますのでご覧ください。
白内障を統計からさぐってみる
統計では、白内障にかかった厚生労働省の調査の5歳間隔の年齢割合では、平成23年度全国で96万人が発症。下記には60代からのみ掲載していますが、実際には45歳から白内障の患者は徐々に増えています。
- 60~64歳が7.8万人
- 65~69歳11.6万人
- 70~74歳19.6万人
- 75~79歳が23.8万人
- 80~84歳18.9万人
- 85~89歳6.4万人
- 90歳以上4.1万人
75~79歳が23.8万人でピークになっています。
白内障になると、どのような症状になる
白内障の症状というのは水晶体が白く濁り、目がボヤける、かすむ、二重に見えるなどの症状があらわれます。
加齢とともに増えていきます。人間だけでなく犬などペットにも起こる病気です。
どのような原因で白内障になるの
白内障は先天性のものもありますが、加齢に伴う老人性のものは、強い赤外線や長年の紫外線の影響により水晶体内に発生した活性酸素により蛋白質が酸化するのが原因とされています。
活性酸素とは、細胞に対して強い酸化作用を持つ物質で取り入れた酸素のうち2%が変化するといわれています。
別の原因もあります。
これとは別にアトピー性皮膚炎の合併症としてアトピー性白内障があります。アトピー性皮膚炎を発症した3割もの人に白内障を併発させているようです。
もうひとつは、糖尿病の合併症のひとつで糖尿病白内障もあります。
予防対策はどうすればいいの
加齢を伴う老人性のものは、海辺や山などの場所へ出かけるときには麦わら帽子とサングラスや保護眼鏡で強い紫外線から目を守るようにすることが白内障予防対策としては大切なことです。
白内障と緑内障とはどういう違いがあるの?
緑内障は視神経に障害をきたし、視野が狭くなる病気で、放っておくと失明に至ることもある病気です。白内障とは一字違いで名称は似ていますが、角膜が緑に濁るものではありません。眼圧の上昇によるものが原因の病気です。
点眼薬でも効果あるの?
毎日点眼する事で白内障を改善できるとうたっている目薬もあります。「CAN-C」や「クララスティル」などになります。有効成分「Nアセテルカルノシン」によって治療できるようですが、真偽の程はわかりません。
白内障の手術について
手術というのは、水晶体の濁りを取り除き、人口のレンズを挿入します。現在の水晶体の濁りを取り除く手術は超音波水晶体乳化吸引術が主流になっています。
それに加えて、眼内レンズ挿入術になります。
現在主流の白内障手術=超音波水晶体乳化吸引術+眼内レンズ挿入術
どんなレンズを挿れるの?
一般的には、健康保険が使える単焦点眼内レンズを挿入します。
単焦点とは、ピントを近くにするか遠くにするかどちらかにあわせることになります。
近くも遠くにも焦点を合わせられないのが欠点です。ピントを遠くに合わせる方は、手元の字などを読むときには老眼鏡が必要となります。
多焦点レンズの詳細についての記事はこちらをご覧ください。
もし、眼内レンズを入れてうまく適応しなかったり度数がずれている場合は入れ替えることもあります。
眼内レンズには度数もあります
またメガネやコンタクトと同じように「度数」を選択することも大事なことになります。
これにより屈折率を改善し近視や遠視も治すことができます。
白内障手術の合併症について
手術中の合併症として後嚢破損(こうのうはそん)が患者の1%未満の人に起こるとされています。
後囊とは水晶体の後ろ側にある薄いサランラップのような膜のことで、そこが破れるものです。ただしそうなってもほとんどレンズの挿入はできるとされています。こちらのホームページをご覧ください
他の合併症について
術後の合併症に後発白内障(こうはつはくないしょう)があります。
眼内レンズを収納するために残した水晶体嚢(すいしょうたいのう)が濁ってくるという症状です。
これを後発白内障といい、白内障の再発はこのことをさしています。
1、2年後に発症する方が多く10人の割合中1人の確率で起こるとされています。ただし一度レーザーで濁りを取り除いたら再発することはありません。
多焦点眼内レンズもあります
白内障手術で挿入するレンズには上記のように保険内診療でできる単焦点レンズと、もうひとつ「多焦点眼内レンズ」があります。こちらはピントを遠近両方に合わせられます。
ただし、保険が使えないため全額自己負担になります。
しかしながら先進医療に認められていますので、それ以外の術前検査や術後経過観察、薬代は健康保険が使えます。
多焦点眼内レンズの費用はおいくら?
多焦点眼内レンズの費用目安として片眼で約36万円です。
両眼で72万円にもなります。またレンズ代についての高額療養費は使えません。
生命保険から給付金は支払われますか?
日帰りでも眼内レンズを挿入する手術をした場合はほとんどの生命保険から給付金が支払われます。
ただし国営時代の簡易保険のように、入院5日以上を伴わないと支払われない手術給付金もありますので各自ご加入の保険会社にご確認ください。
参考
ソニー生命の白内障手術給付金・倍率表のページ(PDF)
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の白内障手術給付金についてのページ
アフラックの白内障手術給付金に関してのページ
受取れる給付金はいくら?
入院日額の「10陪、あるいは20倍を支払う」という保険もあれば、日帰り手術は「一律金額」を支払うという医療保険もあります。
各保険によって支払い内容は違っています。
先進医療特約が使えるケースがあります
医療保険に先進医療特約が付いていて多焦点レンズを使用する場合で、その医療機関が厚生労働大臣から承認を受けていれば先進医療特約から技術料と同額が支払われますので、ご自分の保険証券を確認してみてください。
先進医療の内容についてはこちらの厚生労働省のホームページをご覧ください。
白内障は高額療養費はつかえるの?
白内障の医療費も高額療養費は69歳未満の方と70歳以上の方で計算方法が違ってきますが該当する場合には限度額以上の医療費は還付されます。以下をご覧ください。
69歳未満の高額療養費
69歳未満の方は5つに区分されています。
注)「区分ア」または「区分イ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分ア」または「区分イ」の該当となります。
※ 多数該当とは、4回目以降の自己負担限度額です。3回目までよりもさらに引下げられています。
健康保険で自己負担3割負の方は費用は両眼で約12万円かかりますので、③④➄の区分に該当する方は限度額を超えた分の還付金があることになります。
ただし、同一月(1日から末日までの間)の両眼手術でないと計算方法は違ってきます。
区分 |
標準報酬月額 |
計算式 |
多数回数 |
ア | 83万円以上 | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
イ | 53万~79万円 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
ウ | 28万~50万円 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
エ | 26万円以下 | 57,600円 | 44,400円 |
オ | 市区町村民税の非課税者等 | 35,400円 | 24,600円 |
70歳以上の高額療養費
70歳以上の方の高額療養費は以下のとおりです
区分 |
自己負担限度額 |
||
個人ごと(外来) |
世帯ごと(外来+入院) |
多数該当(※3) |
|
現役並み所得者 | 44,400円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
一般 | 12,000円 | 44,400円 | なし |
低所得Ⅱ(※1) | 8,000円 | 24,600円 | なし |
低所得Ⅰ(※2) | 8,000円 | 15,000円 | なし |
※1:低所得Ⅱ(※1)とは、世帯主および世帯員全員が市民税非課税世帯の方
※2:世帯主および世帯員全員が市民税非課税で、かつ各種収入等から必要経費・控除を差し引いた所得が0円で、年金収入が80万円以下の方。
70歳以上で一般区分の1割負担の方の場合
日帰りの白内障手術をされた方で自己負担1割に該当する方は、片眼約2万円の費用を支払いますので、20,000円-12,000円=8,000円が還付されます。その後、同一月にもう片眼の白内障手術された場合には、40,000円-12,000円=28,000円が還付されます。
ただし、一般に該当する方の費用は、44,400円を超えませんので還付金はありません。
また、現役並み所得者で自己負担3割負担の方が同月に両眼を手術された場合には、自己負担が約12万円ありますので、80,100円+(医療費-267,000円)×1%を超えた分が還付されることになります。
白内障で支払った医療費の確定申告は10万未満でもできる
医療費控除額は年間10万円以上必要と思っている方が多くいますが、これ間違いです。
総所得金額が200万円未満の人はこれに該当しないからです。
この総所得金額というのがクセモノですからご注意ください。詳しくは以下をご覧ください。
どうやって計算したらいいの?
まず、白内障手術の場合には、支払った医療費やそのために必要な眼鏡の費用、通院するために使用した公共交通機関の交通費、薬代等も含めて1年間に支払った医療費をまとめます。
下記にある計算式により医療費控除額以上あれば確定申告により税金の還付を受けることができます。
また、本人だけでは医療費控除額に満たない場合や源泉徴収額が0円でも、生計を一にしている方、つまり息子さんや娘さんとの医療費をあわせて確定申告することもできますから合計してみることが大切です。
計算式は次のとおりです。
医療費控除の計算式
医療費控除額=1年間に支払った医療費ー保険金等で補填された金額ー10万円(総所得金額が200万円未満の人は総所得金額の5%の金額)となります。
総所得金額200万円未満についてですが、給与所得者の場合は年収から給与所得控除を差し引いた金額です。
年金収入だけの方は年金控除額を差引いた金額になります。65歳未満と65歳以上では年金控除額の計算方法が違っています。
65歳上で公的年金が200万円とすれば下記にある計算式から算出すと「80万円」が総所得金額となります。
80万円の5%である4万円を超えた分が医療費控除額として確定申告できます。
所得税や住民税が源泉徴収されていない方は、確定申告しても税金還付されませんが、この章の冒頭に書きましたが、家族で所得税を支払っている方がいればその方が確定申告をすれば還付されますので、よくよく検討してみてください。
まとめ
白内障は診療報酬から計算すると健康保険が使用できる場合は、片眼2万円~6万円が自己負担になります。
また、単焦点でない多焦点レンズを先進医療を使って使用する場合には、レンズ代は保険が使えないため全額自己負担になります。他の医療費については健康保険が使えます。
使った医療費で基準を超えた費用は高額療養費で払い戻すこともできますし、確定申告の対象になる方は、所得税や住民税を払い戻すこともできます。
多焦点レンズの料金は片眼でおおよそ36万円になりますが、生命保険の特約で先進医療特約を付けいている場合は、条件に合えば全額支給されます。また、白内障の手術は、生命保険の特約や医療保険から手術や入院給付金の支払いに該当するケースが多いので各自でご確認ください。
以上、「白内障の手術費用は生命保険から受取れるの?高額療養費はどうなっているの?」についての記事でした。
次のページ→ 白内障の眼内レンズは多焦点レンズがいい!?
関連ページ
- 生活保護の医療費はどうなっているの?
- 生活保護の医療費の仕組みについて解説
- 診療報酬とは?どのような内容になっているの
- 診療報酬とは?
- 人工透析の医療費の仕組みと身体障害者手帳について
- 人工透析の医療費と身体障害手帳についてのまとめ
- 難病(特定疾患)の医療費助成のポイント
- 難病(特定疾患)の医療費と助成について解説
- 子どもの医療費助成とはどういうものですか?
- 子どもの医療費とは?
- 70歳以上の医療費はどうなっているの?
- 70歳以上の医療費の仕組みについて解説
- 切迫早産の入院費用と生命保険や高額療養費など知っておくべきポイント
- 切迫早産の費用と生命保険、高額療養費について解説
- 差額ベッド代と選定療養費について徹底解説!
- 差額ベッド代や初診時の紹介状など選定療養費と保険外併用療養費などついて解説
- ジェネリック(後発)医薬品とはどういうお薬なの?
- ジェネリック(後発)医薬品について
- 医学管理料とはどういうもの?概要や診療点数について
- 医学管理料の概要や診療点数について解説
- 下肢静脈瘤の手術費用はどのくらいなの?高額療養費と生命保険からの給付について
- 下肢静脈瘤の手術費用は生命保険から支払われるのか
- 初診料と再診料の計算や点数と同日2科目受診について解説
- 初診料、再診料、同日2科目受診、診療時間外の加算について
- 歯医者の初診料はいくら?2016年の料金。再診料計算はこうする
- 歯医者の初診料と再診料計算、歯科診療報酬について解説しています。
- 一般病棟の入院基本料や加算点数はどうなっている?
- 一般病棟の入院基本料や加算点数について解説
- 白内障の眼内レンズは多焦点レンズがいい!?
- 白内障で用いる多焦点レンズについて
- 集中治療室(ICU)の費用(料金)はやはり高かった!
- 最新の平成30年度においての集中治療室(ICU)の費用(料金)、医療点数について解説
- 必ず知っておきたい診療報酬請求の流れ。図解しています
- 診療報酬請求の流れを図解
- 初診時に歯石取りで支払った料金はこんな感じだった
- 歯医者に行って支払った初診料とその他の料金についての体験談です。
- 抜歯のため支払った再診料はこんな感じだった
- 今回は親知らずの抜歯です。その処置と支払った再診料についての記事
- 投薬報酬と調剤報酬は違いますよ。概要と点数について解説
- 投薬報酬と調剤報酬は別のもので違います。ここでは、調剤報酬についての概要と主な投薬点数を掲載しています。
- 患者申出療養制度とは?
- 未承認薬等を迅速に保険外併用療養として使用したいという困難な病気と闘う患者の思いに応えるため2016年4月から始まった患者申出療養制度について解説します
- 脳ドックの費用はいくらかかるの?どんな検査か知りたい方のページ
- 脳ドックについての概要と費用はどのくらいかかるのかについて調べてみました。
- 東京で受けられる低価格な脳ドックランキング
- 東京で受けられる低価格な脳ドックを掲載しています
- ひとり親家庭の医療費助成
- ひとり親医療費助成について
- 医療費の自己負担はどうなっている
- 医療費の自己負担
- 高額療養費の申請
- 高額療養費の申請について
- 歯石取りの料金はいくら?体験談です
- 歯石取り(除去)のため歯医者に行ってきました。1年ぶりのことですが、料金はいくらかかったのかの体験記事です